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乱読のすすめ

2015年03月30日

本をたくさん読む話。

ぼくは本を読むのが好きで植物の本から宇宙の本から仏像の本までいろいろ読むのですが、なんとなく、じぶんが求めている答えが安直に書いてありそうな本は極力避けるようにしています。これは、そのときは知識が得られて無敵感に駆られるけれど「こういうことを知りたい」と思って読んだ本はすぐに忘れてしまうことが多かったから。

そこでぼくはそれを避けるために

のような読み方を意識していて、うまく回避できている、というか読書を純粋に楽しめているのでこれをおすすめしたい。たぶんこれは乱読という読み方になるのだと思う。

答えを自分のあたまで組み立てる

まず最初に「じぶんが求めている答えが安直に書いてありそうな本」はどうして「すぐに忘れてしまうことが多い」のかを考えてみる。

これについては外山滋比古さんの「思考の整理学」という本で紹介されている「あたまを倉庫として使うか工場として使うか」というアイデアをベースに考えたい。このアイデアを簡単に紹介すると、じぶんのあたまをただ覚えるだけの倉庫として使うことに必死になっていると、そこから着想を得たりひらめいて生産する工場として使う容量が少なくなってしまう、というもの。

件の読書にこのアイデアを適用してみると、最初から本に答えをもとめて読むとどうしてもあたまは倉庫的になってしまい、自分で考えて発想するより記憶する機能のほうが強く働いてしまうと言える。たとえば、問題集の答案を問題を解かずにいきなり読んだあと、そのときはわかった気になっても実際その問題に遭遇したときスラスラ解けないことは自明である。やはり、答えをただインプットするだけでは問題を解くための工場的な機能をうまく働かせることができない。

アイデアを自分のものにするには、ただ答案を読むだけではなく、自分で考えたどり着く過程を踏めたほうがきっといいのだ。

異なる視点・分野の本からヒントを得る

では答えが載っていない本を読んで、本当にもともと解決したかった、あるいは学びたかったことが学べるのかを考える。これにあたってはリチャード・L. グレゴリーの「脳と視覚―グレゴリーの視覚心理学」をヒントにしたい。

この本ではひとがどのようにものを見て、どのように認識しているのかをことこまかに分析している。それによると「ひとは目ではなく脳でものを認識している」という。つまるところこれは認知心理学という分野のアイデアになるのだけど、つまり人間の目はただの媒体であり、そこから得られた情報を脳が選別しながら認識していることになる。これによってただのインクのシミでなくその記号の意味を理解できるし、あるときには実際とは違う認識をしてしまう「錯覚」のようなエラーが発生してしまう。錯覚は脳が「おそらくこうだろう」と経験によるバイアスによって決めてかかることから生まれるもので、経験や環境などその人が持つコンテキストがそれに大きく影響するという。

これを本を読むということに対して少しだけ拡大解釈すると、「一見関係のない分野の本でも関係のあるように読んでしまう」とも言えるのではないだろうか。つまり、その本を読む人によってコンテキストもちがうため、ひとつの本から人それぞれ違った着想が得られることは必然のように感じる。

デザイナーはデザイナーのコンテキストでその本を読んでしまうから、どんな本でもデザインの本に読みかえることができるのだ。

読書スピードを意識する

最後に「本は最後まで読まなくてもいい」という原則をしっかり自分の中に残しておくことも意識したい。

これは外山滋比古さんの「乱読のセレンディピティ」から影響を受けている部分が大きいような気がするので、Amazonの商品説明から抜粋して紹介だけしておく。

一般に、乱読は速読である。それを粗雑な読みのように考えるのは偏見である。ゆっくり読んだのではとり逃すものを、風のように速く読むものが、案外、得るところが大きいということもあろう。乱読の効用である。本の数が少なく、貴重で手に入りにくかった時代に、精読が称揚されるのは自然で妥当である。しかし、いまは違う。本はあふれるように多いのに、読む時間が少ない。そういう状況においてこそ、乱読の価値を見出さなくてはならない。本が読まれなくなった、本ばなれがすすんでいるといわれる近年、乱読のよさに気づくこと自体が、セレンディピティであると言ってもよい。積極的な乱読は、従来の読書ではまれにしか見られなかったセレンディピティがかなり多くおこるのではないか。それが、この本の考えである。

専門外の本を読んでいると知らない単語や概念がたくさん出てきて、読むスピードはどうしてもゆっくりになってしまう。すでに知っていることだったり、説明が冗長すぎる内容のときはついだれてきてしまう。

乱読で大事なのは、自分が発するシグナルに気づいてあげること。読書スピードが落ちてきたり、本がかばんのなかに入っているのにどうしても本を開く気になれないときなど、自分の読書体験から発するシグナルに気づいてあげる。どうして本を読む気になれないのかを察すると、ほとんどが本の終盤であったり、どうしてもその本に興味が持てなかったりだとかが多い。

べつに、本は最後まで読まなくてもいいのだ。ほとんどの本が伝えたいことはひとつしかない。それがつかめたら、無理に最後まで読む必要はないのだ。興味がなかったら、読むのをやめてもかまわない。知っていることしか書いてなかったら、ほとんどの場合読む必要はない。

ぼく的乱読のすすめ

というわけで、ぼくの読書方法がどうしていまのような形になったのか、自分を見つめ直しながら紹介させていただいた。なんか理屈っぽく書いてしまったけど、読むのはおカタい本じゃなくても全然よくて、笑っちゃうような内容の本であってもいいし、ギャグマンガでもいいと思う。とにかく読んで読んで読みまくること自体が楽しいので、これさえ共感してもらえたら嬉しいなぁ。

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自己紹介
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KEISUKE TSUKAYOSHI

UX Designer / UI Designer.

株式会社Fablicでフリマアプリ"FRIL"などの事業サービスのプロダクトマネジメントやデザインを担当しています。

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