Apple Watchアプリをデザインする前に
前回記事に引き続き、Fablic Acvent Calendar 9日目の記事になります。
FRILではサービスをiPhone/iPadアプリやAndroidアプリで利用できたり、Apple WatchやAndroid Wearなどウェアラブルと呼ばれるデバイスでも楽しめるよう専用のアプリとインターフェースが用意されています。今回は、特にApple Watchアプリをデザインした時に気付いた点や作業に取り掛かる前によく考慮した点などをまとめてみました。
デバイスの特性:なぜApple Watchでなければならないのか
Apple Watchのアプリをデザインする前にまず考えたのが、なぜWatchアプリである必要があるのか?でした。iPhoneとApple Watchを比べながら、Apple Watchというデバイスがもつ特徴を整理してみます。
Apple Watchが優れている点
- 常に身に着けていられる
- 腕を寄せるだけでインタラクションがスタートする
- リスタートするのが簡単(ポケットから出してロック解除してを繰り返す必要がない)
- サブディスプレイとして使える
- スマホが使えない状況で使える
- センサー類(とそのアクティビティログ)が使える
- その他
例えば、クックパッドのWatchアプリは「スマホが使えない状況で使える」という点でとてもよくデザインされています。キッチンでスタンディングしながらでもフライパンを握りながらでもクックパッドアプリとコミュニケーションできるようデザインされていて、iPhoneが使いにくいシーンでこそApple Watchアプリが活躍するようデザインされています。
FRILでは採用しませんでしたが、「センサー類が使える」という点では、もしかしたら商品を発送する際の重さ計量器として利用できるようなアイデアもあるかもしれません。
Apple Watchが劣っている点
- 画面サイズが小さい
- 反応速度が遅い
- スマホが使える状況であればそちらを使いたくなる
- 細かい操作がしづらい
- 腕の上で操作するので少し不安定
- 操作する指でほとんど画面が見えなくなってしまう
得意な部分がある一方で不得意な部分もあって、特になにかを読んで情報を得るための役割としては不向きだと感じました。ユーザーに利用してもらえるシーンを想像するとき、iPhoneとApple Watchどちらも使える状態でも選んでもらえるか、Apple Watchがコミュニケーションの起点になるか、iPhoneを使えない状況を想定したものにする必要がありそうです。
インタラクション:どうユーザーの生活に溶け込むか
Apple Watchにどういった機能を持たせられるかを整理して機能の幅をできるかぎり広げた後、実際にユーザーの生活にどう溶け込んでいけそうかを考えてみます。
Apple Watchが劣っている点で挙げたように、そもそも画面が小さくユーザーが能動的にデバイスに対してアクションしにくいこともあるので、能動的や受動的含めてどのようなイベントを起点にユーザーと接触できるかを洗い出しました。
Apple Watchとユーザーとのタッチポイント
- iPhoneから通知を受けたとき
- Watchアプリが通知を発するとき
- 時計をみるとき
- 座って作業しているとき
- スマホが近くにないとき
- その他
これらのタッチポイントから、どのようにユーザーとコミュニケーションしていくべきかを考えます。FRILではUXマップを作成してユーザーの行動と感情を可視化しつつこの作業に取り掛かりました。
まとめ:Apple Watchアプリをデザインする前に
Apple Watchアプリを作ろうと考えたとき、一番安直で簡単なのはiPhoneアプリの機能を移植することですが、「なぜApple Watchでなければならないのか」「ユーザーの生活にどう溶けこむか」を考えないでそのまま移植してしまうとユーザーにとっても期待はずれなものになったり、それにかかる開発コストも無駄なものになってしまいます。
Apple Watchアプリが単にiPhoneアプリの移植版になってしまわないよう、デバイスの特性やサービスフィットを意識して、Watchアプリを作らない選択肢も視野にいれつつユーザーにとってもサービスにとってもよいデザインを心がけたいですね!
明日はエンジニアのしなもんがアドベントカレンダー担当です。お見逃しなく!