UIデザインのKPI設計
こちらはFablic Advent Calendar 2016の記事です。
このブログの最後の投稿もFablic Advent Calendar 2015の記事だったようで、もはやAdvent Calendar専用ブログとなりつつありますが今年もAdvent Calendarのおかげで無事更新できたということでここはひとつ…!
UIデザインのKPI設計?
さて、皆さんはUIデザインをするとき、どんなKPI設定をしますか?
より使いやすいものにする、イケてるものにする、機能のつじつまが合うようにするなど定性・定量様々あると思いますが、UIの改善でサービスをより成長させる ためにぼくが最近意識している目標設定のプロセスをご紹介したいと思います。
準備①:事業とユーザー体験のKGIを一致させる
KPIを決める前に、まずチームにとって一番大きな目標であるKGIを設定します。サービスは会社が運営していて、たいていの場合会社はお金を稼ぐことを目的としていることが多いのでまずは お金を儲ける にKGIを設定してみます。これさえクリアしていれば会社がひと・もの・かねを投下しやすいサステナブルな状態になっているのがポイント。
しかし、このままだと目標として抽象的すぎるため機能しなさそうなので、より具体的にサービスでどうやってお金を稼ぐかという視点から定義しなおしてみます。
少しそれっぽくなりましたが、これだとユーザーの使い勝手などユーザー体験の部分が考慮されていないため誰も使わないサービスを生み出しかねない目標設定になってしまいます。
C向けサービスの場合は必ずユーザーがいて、そのユーザーももちろんある目的があってサービスを利用しているはずなので、そのユーザーの目的達成を考慮に入れた 事業指標とUX指標が交差するようなKGIを模索してみます。
事業指標とはそれが伸びていれば事業がうまくいっていると判断できる指標、UX指標とはそれが伸びていればもっとも価値のある体験がうまくいっていると判断できる指標です。
たとえばフリマアプリFRILに求められる「売りたい人が売れて買いたい人が買える」というバリュープロポジションと事業目標をすり合わせてみると、「売買取引を増やす」という落とし所が見つかりました。
このように事業指標とUX指標が一致することによって、 会社は事業にひと・もの・かねをどんどん投下でき一方でユーザー体験としても ユーザーが最も求めているコア価値がどんどん改善される、 現場のチームはこの目標をひたすら高めるだけで事業もユーザー体験も改善できるKGI を設定することができました。
個人的には、ユーザーが最も共感する適切なバリュープロポジションを発見して、それを高めるためのリソースを投下できるKGIを設定することこそがUXデザイナーの一番の腕の見せどころかなと僕は思います!いわばUXデザインのKPI設計?!?!
準備②:KGIをファンネルに分解する
チームの目標となるKGIが定まったので、KPIのもととなるファンネル指標を設計していきます。(要するにコンバージョン率です)
例えば「ある商品を購入する」というユーザー体験をインプット・アウトプット・ファンネルに分解してみるとこんな感じなります。

ユーザーのある行動を分解する
きちんとファンネルになっていれば、インプットがファンネルを通った後アウトプット(KGI)になるような方程式で表せる関係になっている状態になっているはずです!
インプット × ファンネル × ファンネル × … = アウトプット(KGI)
こういう関係を保証しておくことで、UIの改修によって発生したKPIの改善が巡り巡ってしっかりKGIに連動する形になり、そのUI改善がどれだけKGIに影響できたかを具体的に知ることができるようになります。
また、ファンネルのグループは決して一つだけではなく、流入経路や属性によっていくつも設定することができるのでタッチポイントごとに探してみたりするとこれまで気づかなかった新たな改善点が見つかったりします。

ファンネルグループはいくつもあります
本題: UIデザインのKPI設定
ここまで準備ができたら、KGIから分解できたファンネルをUIデザインのKPIとして設定します。

ファンネルがボトルネックになっている部分
どのファンネルを選ぶかはどの部分のUI改修を行うかによって適宜変えますが、ここで意識したいのはより改善できそうなファンネルはどこか?より影響が大きいファンネルグループを選択できているか?です。
KPIにするファンネルを設定できたら、このファンネルをどのように改善していくべきかを考慮しながらUIデザインに取り組んでいきます。
UIデザインのKPIを選択するにあたって意識しておきたいポイントをまとめてみると、
- 事業指標とUX指標が交差したKGIがゴールにある(UXの改善にリソースが十分投下できる)
- KPIがKGIのファンネルになっている(UIの改善がKGIにきちんとヒットする)
- インプットが十分あるファンネルグループである(より多くのユーザーに影響する)
- そのファンネルに改善の余地が残っている(ユーザーが強く困っている)
のようなポイントを踏まえた指標がUIデザインのKPIになっていることで、より効果的でKGIにもヒットしやすい目標設定ができるのではないかなと思います。
以上が僕がUIデザインをするときに最近意識しているKPI設計でした!
かなりグロースハック色が濃いめな目標設定になってしまいますが、UIデザインとKPI改善がしっかりセットになっているとチームの意思決定がしやすく、サービスの成長にもより効果的な改善が生まれやすいと思うので機会があれば是非トライしてみてください!
明日はyuki930による「効果検証的な話(仮)」です!お楽しみに!
おまけ: Fablic Advent Calendar 2016 Designer Link
FablicデザイナーのAdvent Calendar記事をまとめてみました。
- 12/5: Before UI Design – 定性と定量の間で考える (takejune)
- 12/8: UIデザインのKPI設計 (kurechon)
- 12/9: Fablicの効果検証を支えているGoogleスプレッドシートのお気に入り便利機能5つ (yuki930)
- 12/13: 芯を通すリブランディング -デザインに入るまで (wariemon)
- 12/21: デザイナーが1人でキャンペーンを設計から運用までしてみて良かったこと (kobachi)
エンジニアさん向けの記事もご用意しておりますのでぜひご覧ください!